平成25年度

    「ジュニア自然観察員」養成講座スタート

 今年、戸塚南小あすぱるエコクラブでは専門家の協力を得て、「ジュニア自然観察員養成講座」を
開きます。戸塚南小学校では開校以来、環境学習・環境活動を進めてきました。授業づくりや、環境
活動ではたくさんの専門家、地域の方々の協力を得て進めてきました。環境への興味、関心、意識
高い子ども達もたくさん育ってきています。
 子ども達にもっともっと戸塚の自然に親しんでもらいたい。戸塚の斜面林のことをよく知り、そこに
すむ生き物、樹木・草花について調べてもらいたい。自分の「ふるさと」である戸塚を大好きになって
もらいたい。そして戸塚の自然、環境を大切に守り育てるジュニアリーダーになってもらいたい…と
願い、「ジュニア自然観察員養成講座」を企画しました。
 協力いただく、主な講師の方は3人の先生方です。
     
     川口植物の会会長 環境アドバイザー     西川 昭三  先生
     自然観察員 環境アドバイザー          横山 隆    先生
     自然っ子クラブ 環境アドバイザー        神山 裕則  先生


さらに 川の博物館 学芸員 藤田 宏之  先生をはじめたくさんのゲストティーチャーもお呼びする
予定です。子ども達の成長ぶりをどうぞ温かく見守り、応援してください。


 6月22日(土)  第1回 ジュニア自然観察員養成講座


6月22日(土)ジュニア自然観察員養成講座第1回
目が始まりました。午前10時、児童館あすぱるの
会議室が会場です。1年間継続的に活動を続けてい
きます。
ジュニア自然観察員養成講座は自然を学ぶ学校で
す。校長先生とお呼びしていいのが、川口植物の会
会長の西川昭三先生です。
そして副校長先生になるのが自然観察員の横山隆
先生です。戸塚南小では横山隊長と呼んだほうが子
どもたちにはわかります。
保護者の方々も参加していただきました。
中に環境関係に仕事をされている専門家の方がいま
す。ぜひ、どこかでエコクラブの子ども達にお話をお
願いしたいと思っています。
戸塚南小学校の卒業生とその保護者の方も講座を
受けています。生徒さんというよりは助手さんですね。
開講にあたって、はじめに西川先生から川口の自然
を考えるにあたって基本になることをお話していただ
きました。
 川口には台地、斜面、低地と土地の高さを考えただ
けでもいろいろな場所があります。地形図を使って説
明してもらいました。台地の高いところで20m、低い
ところでは海抜4,5mです。
 みなさんが住んでいる戸塚には坂が多いですね。
自分の住んでいるところは台地ですか?斜面ですか
?低地ですか?
 大昔はこの台地のすぐそばまで海がありました。台
地の上は、海の生き物をとるのに都合がよかったの
でしょう。戸塚近くにはたくさんの遺跡も出ています。
 台地、斜面、低地といろいろな場所があるから、いろ
いろな植物、生き物が豊かであることが川口の特徴
です。台地があり、斜面林があり、わき水が豊かにあ
ることもこの地域の特徴です。
 横山先生からは、自分の子ども時代の様子について
お話してもらいました。
 オニヤンマというトンボは強いなわばり意識をもって
います。自分のなわばりに他のトンボがくると追い出し
たりもします。自分のなわばりをよくぐるぐると飛んで
います。横山さんが小さいころは、オニヤンマが家の
なかにも飛んできたそうです。オニヤンマは家も自分
のなわばりと思っているのでしょう。オニヤンマが入っ
たところで、窓をしめてオニヤンマとつかまえることも
多かったそうです。
 
今は、そのオニヤンマはなかなか見ることはできま
せん。今日の斜面林のフィールドワークでどんなトンボ
がいるか楽しみですね。
みんなの住んでいる家はどこにありますか?
台地の人は…いますね。
斜面に家がある人、低地の人。いますね。
みんなの住む場所と川口の土地の様子とつなげて考
えてみるといいですね。
  子どもがまとめたノートです。
お話を聞いて、大事なことをわかりやすくまとめてい
ます。 
西川先生、横山先生のお話を聞いて、いよいよ植物
生き物調査に出発です!
みんなそれぞれに虫網、虫かごをもっています。
なかにはマイ図鑑を持っている子もいます。
斜面林に行く手前、小さなかわいいピンクの花があり
ました。この花はネジバナといいます。「もじずりの花」
ともいいます。学校の中庭の芝生の間にも見ることが
あります。
さっそくマイ図鑑を開いたお友達がいました。
さすがですね!
下台公園の池に来ました。何か…います。 大きなタニシがいました。南小で育てているホタルの
エサにします。
池にはオオシオカラトンボ(♂)がやってきました。 西川先生がドクダミの葉をつんできてくれました。
においをかぐと…
うわあくさい…  しかしドクダミは漢字で書くと十薬と
も書きます。開花期の地上部を乾燥させたものは昔
から薬として使われています。
ドクダミの花は白い花と…思いますが、あの白い花
びらに見えるものは花ではありません。
虫をおびきよせるために花のように変化したのでしょう。
花びらのように見えるものは、葉に近い性質をもった
総苞と呼ばれるものです。ドクダミには花びらはありま
せん。花の中央に穂状になっているのは雄しべと雌しべ
です。
斜面林にはドクダミがたくさん咲いています。ぜひ
花をよく見てみてください。
子ども達は生き物さがしに夢中です。 テントウムシをつかまえました。
ニジュウヤホシテントウムシ…かなとも思いましたが、
テントウムシ(ナミテントウ)です。
また図鑑を開いてみました。色からするとどうもその
ようですが…
図鑑を開いて調べていると、横山さんのところに虫が
飛んできました。
なんと…ゴマダラカミキリです。もうこの時期飛び始
めています。
この草はブタクサです。ちょっと見るとヨモギにも見え
ます。最近はブタクサが減ってきているようです。アメ
リカからブタクサハムシが入ってきて食べられていま
す。ブタクサの時期が終わると、次はオオブタクサが
見られることが多いです。
これはヌルデです。これ全部で1枚の葉っぱです。
よく見ると枝にも葉がついているのがわかります。
これはクサギです。クサギの葉はもむとくさいですが、
花はとていい香りがします。
これはアカメガシワです。葉にたくさんのアリがきて
います。葉のつけ根に2,3匹のありがいました。
ここに蜜線があります。花ではないのに蜜が出るとこ
ろがあります。アリにきてもらうことでアブラムシなどを
食べてもらうのでしょうか。蜜線があるのは若いアカメ
ガシワだけです。
 ヌルデ、クサギ、アカメガシワは林のへりに育つ植物
です。斜面林を歩くと林の道路沿いのへりにたくさん
あることがわかります。

 森や林をつくる樹木といえば、
  クヌギ、コナラ、シラカシ、スダジイ、シデです。
  シデには斜面林ではイヌシデとアカシデがあります。
そして、その林のとりまくように低木でヌルデ、クサギ、
アカメガシワが生えています。
ヤブマオです。イラクサ科の植物です。カラムシ
と近い種類で、昔はこの繊維をとって糸を紡いだ
そうです。
ベンチの下にトキワハゼが生えていました。
紫のかわいい花が咲いています。 ダンゴムシです。このダンゴムシはなぜか丸まらな
かったです。丸まらないダンゴムシには寄生虫が
いて、寄生虫がダンゴムシの行動パターンを変えて
しまうそうです。暗いところを好むダンゴムシのはず
が明るい方に移動します。すると鳥に食べられてしま
います。その鳥のフンからまた寄生虫が土に落ち、
またダンゴムシに寄生するというのです。
ムラサキカタバミです。戸塚南小の校章のカタバミは
黄色い花ですが、それよりもずっと葉が大きいです。
斜面林のカブトムシ飼育箱の近くにはセアカヒラタゴミムシがいっぱいいました。セアカヒラタゴミムシは他
のゴミムシと違って小さなムシをエサにしています。
ゴミムシは死肉は腐敗物を食べています。
子どもたちはカナヘビを発見して、もう夢中になって
探し始めました。
カナヘビを捕まえているうちに、何と…
トカゲ(ニホントカゲ)を見つけました。
これがアップの写真です。ニホントカゲは埼玉県の
絶滅危惧種になっています。今日はニホントカゲを
5,6匹も見つけました。そのうち3匹をつかまえて
観察することができました。
こちらはヤブカラシです。ヤブカラシの花ですがオ
レンジ色のものもあればピンクもありました。ヤブガ
ラシのこの花をなめてみると甘いです。名前によらず上品な甘さでした。
ミズキの葉です。斜面林の水路ぞいのミズキが生え
ています。この葉にはよくオオミズアオがついている
ことが多いです。ミズキの草花遊びです。
ミズキの葉を切ってひっぱると葉脈だけが残って
葉がぶら下がっています。
ホタルガをつかまえました。 ハリエンジュです。昔はニセアカシアといいました。
斜面林の水路にオタマジャクシがいました。 小さな小さなオタマジャクシです。
このオタマジャクシは何ガエルでしょうか?
これはニホンアマガエルです。
斜面林には3種類のカエルがすんでいます。

 1 アズマヒキガエル
 2 ニホンアカガエル
 3 ニホンアマガエル

です。これだけ都市化してきている戸塚地区の斜面林
にこれだけのカエルは棲息しているのは奇跡的なこと
です。
子ども達は、まだオタマジャクシが何ガエルかはわ
かりません。育ててみて何ガエルか調べてみようと
いうことになりました。
水辺があるだけで、たくさんの生き物がすむことがで
きます。斜面林に井戸を掘ったとはいえ、天気がいい
とすぐに水が少なくなってしまいます。オタマジャクシ
がちゃんと成長できるといいですね。
最後、まとめの時間となりました。
西川先生からはコナラの枝をもってきてくれました。
よく見ると小さな実のようなものがついています。
これはコナラのどんぐりです。まだまだとてもドングリに
は見えません。コナラのどんぐりは1年かかって大きく
なります。
横山先生からは斜面林にすむ3種類のカエルのこと、ニホントカゲとニホンカナヘビの違いについての子ども達の観察についてお話してもらいました。
発見したこと、驚いたことがいっぱいの斜面林フィー
ルドワークとなりました。
最後に子ども達が一人ずつ、自分の感想を発表し
ました。自分の発見したこと、驚いたことを、みんなに
伝えていくということはとても大切なことです。
 こうして、第1回ジュニア自然観察員養成講座が
終わりました。
 これからの活動の発展、子ども達の成長をどうぞ
楽しみにしていてください。
 西川先生、横山先生、児童館あすぱるのスタッフ
のみなさんありがとうございました。

 
6月23日(日)    斜面林自然観察会

 ジュニア自然観察員養成講座があった翌日は児童館「あすぱる自然観察会」に合流して、斜面林の自然観察を
行いました。戸塚南小からは40名が参加しました。   

23日(日)あすぱる自然観察会が始まりました。
館長の澤田さんのお話からスタートです。
講師は横山自然観察員さんです。横山隊長です!
今日は他にも自然観察員さんがきてくれました。 観察会を始める前に、網について横山隊長が
お話ししてくれました。
網には2種類あります。これが虫網です。奥が長い
ですね。緑の網は水網、あるいはタモ網ともいいます。
さあ、この網をどうやって使うかちょっと考えよう。
ただその前に、つかまえる前に、まずその虫が何を
しているのかは観察しよう。エサをとっているのか?
メスがオスを待っているのか?休んでいるのか?
これが大切ですね。
さて、網の使い方です。
チョウをつかまえました。下から手を入れると逃げて
しまうかも知れない。
網のおしりをもって上にあげます。すると…チョウが
上に飛びます。
そこで上をつまんで、下からゆっくり手をいれてつか
むといいですね。写真クリック動画
網をあてるときは、すっと流すといいんですね。
写真クリック動画
網の使い方覚えましたね。 さあ、斜面林に出発です。
今回はいつもと逆に歩いてみました。まずは公園で
す。この木はクスノキです。クスノキからは樟脳(しょう
のう)という生薬がつくられます。強い香りがします。
この匂いが虫よけにもなります。
あじさい畑にきました。 さっそくみんな網を持ってかけて行きました。
このトンボは何だろう?アカトンボのようですね。
アカトンボにはアキアカネとナツアカネがいます。
その見分けかたを、横山先生が説明してくれま
した。トンボの胸の部分を見て、真ん中のすじが
ずっと伸びているのがアキアカネです。
短いのがナツアカネです。 さあ、網を上手に使って虫をつかまえよう。
サトキマダラヒカゲです。 森が深くなって暗いところにいます。樹液を吸いま
す。サトキマダラヒカゲが樹液を吸った後に、カブト
ムシやクワガタがやってきたりします。
クサカゲロウがいました。ウスバカゲロウは体が
茶色です。
これはオオクサカゲロウです。
これは…水アブです。トンボのヤゴみたいにくらして
います。これがアブになるんですね。
ちょっと…さわるとぶよぶよしていました。
オタマジャクシがいました。このオタマジャクシは
ニホンアマガエルです。
まだ本当に小さいですね。水路の水がひあがって
しまうとどうなるか…心配です。
 アマガエルのオタマジャクシを見つけたと思ったら
…なんとまたカエルがいました。大きいです。
 ジュニア自然観察員のメンバーがつかまえてくれ
ました。このカエルは…アカガエルです。
ずいぶん大きいですね。 もう2年ぐらいはたっているカエルでしょう。今年も
卵を産んでくれるといいですね。目が金色です。
写真クリック動画
ヒキガエルもいました。 ヒキガエルは背中がざらざらしています。
アカガエルはつるっとしていますし、ちょっとスマート
だからよくわかります。
斜面林にいる3種類のカエル
  ニホンアマガエル
  ニホンアカガエル
  アズマヒキガエル です。
カミキリをつかまえました。 ゴマダラカミキです。耳を近づけると鳴いています。
水路の水をすくって観察してみました。いろいろな
生き物がいます。アカムシにミジンコもいました。
写真クリック動画
思わず水路にはいってしまいました。
テントウムシが脱皮をしていました。 ナミアゲハです。
キアゲハは羽根のつけ根が黒いからわかります。 ジャコウアゲハです。ジャコウアゲハは優雅にとび
ます。ウマノスズクサが食草です。ウマノスズクサに
は毒があり、それを食べて大きくなったジャコウアゲ
ハにも毒があり敵があまりいないそうです。だから
優雅に飛んでいるのでしょうか。
アカガエルです。 細くて背中がつるっとしています。
ニホンカナヘビをつかまえました。カナヘビは子どもた
ちに大人気です。
さて、この杉の木の穴は何だかわかりますか。
公園の木橋のところにあります。 これはキツツキ、たぶんコゲラの巣だと思われま
す。キツツキにはコゲラやアカゲラなどいろいろ仲間
がいます。もう子育ては終わったのでしょうか。
また、季節が変わってやってくるかも知れませんね。
ジュニア自然観察員のメンバーが前から観察していて
くれました。説明も立派にできました。
木橋を上がった上の公園で、観察会は終わりです。
木陰でふりかえりをしました。
まずはつかまえた虫の自慢大会です! ゴマダラカミキリ登場!
実際に紙霧切りをやってもらいました。 たくさんの虫たちが紹介されました。
最後にジュニア自然観察員の子どもたちから説明
がありました。キツツキについて。
モンシロチョウの春型と夏型について。
黄色く色づいているのは夏型のモンシロチョウです。
よく見てみてください。
今日はアカガエルを見つけました。2年ぐらそだった
大きなカエルでした。来年卵を産むことでしょう。
楽しい一日が終わりました。子どもたちだけでなく
お父さん、お母さん達も子どもたちと一緒に楽しく
自然観察ができました。
最後にみんなでこの林に「ありがとうございました」
とお礼を言って終わりました。